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自分とのつきあい方―自己肯定感について考える―

自己嫌悪で辛かったり、自分に自信が持てなくて悩んでいる方へ。

岸見一郎・古賀史健『嫌われる勇気』【書評】

こんばんは。

今日は、ずっと積読だった嫌われる勇気をやっと読んだので、それについて書こうと思います。

これ「アドラー心理学」の本だったんですね。そうとは知りませんでした。フロイトユングに並ぶ心理学者と紹介されていましたが、本当かなあ(笑)

アドラー心理学によると、人は過去の原因が現在の自分を作っているのではなく、何か心理的な目的のために現在の状態を作り出しているのだそうです。これだけだとなんのことか分かりづらいですね。

たとえば、ひきこもりを例にとると「両親に虐待されたからひきこもりになった」のではなく、「親の注目を集め、丁重に扱ってもらうためにひきこもる」のです。だから、自分のことが嫌いな人も一歩踏み出す勇気を出せば変わることができる、というのがこの本の前提です。

さらに、アドラーによれば「全ての悩みは対人関係の悩み」であり、それを脱却するには「人は人、自分は自分が選んだ人生を送るのだ」という課題の分離と「周りの人が敵ではなく仲間だと思えるような共同体感覚」が必要なのだそうです。

じゃあ、課題の分離と共同体感覚のためにはどうすればいいのか?残念ながら、その点についてこの本は書いていません。書いているふりをしていますが、そんな机上の空論のような説明で人の心が説得できたら何の苦労もないじゃん、というのが正直な感想です。

この本は、確かによく人の心理の底を暴いていると思います。「自慢する人は自信がないのだ」とか、「他者への関心がなく、自己に執着しすぎである」とか。ああ、その通りだなあとかそういう人がいるなあ、という分析的説明としてはよくできていると思います。

でも、じゃあ「自己から他者へ目を向けなさい」と言われたところで、それができるかというとそれは全く別の話だと思います。私は以前「どうして自分は他人に関心が持てないんだろう」と自己を否定していましたが、その時にこれを読んでも「ああやっぱり自分だめだな」と思うだけだったんじゃないかな。

自分の心理状態を見つめることは大切だと思います。でも分析と一緒に解決策を知らないとただ辛いだけですよね。その辺がやっぱりこの本は足りないなと思います。

あともうひとつだけ書くと、正直「他人の役に立つこと、他人と関わることで自己承認が生れる」みたいな話は聞き飽きたし、違うと思います。私はやっぱり他人に関心が薄くて別れとかもあっさり終わらせてしまうタイプですが、別にそのままでもだいぶ自分を受け入れられるようになりました。人間の本当の喜びって、他者と関わることだけなの?もちろん、他の人といる時が一番楽しくて幸せだという人は多いと思いますが、大自然や美味しい食べ物や、素敵な小説といったものの方により感動を覚える、そういう生き方もありだと言いたい。周りに全く人がいないとさみしいし人と関わらずには生きていけないけれど、でも自分が必要とする以上に関わろうとさせてくるような社会はしんどいです。

現代社会の強迫観念というか規範をそのまま説教される感じがして、説教されたい人にはいいのかもしれませんが、あまり真面目に受け取りすぎないことをおすすめします。

今日も空は広い。

 

夕(ゆう)

MAIL: r921k4u@gmail.com