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自分とのつきあい方―自己肯定感について考える―

自己嫌悪で辛かったり、自分に自信が持てなくて悩んでいる方へ。

防衛機制を知ろう【自己肯定感を高めるために(5)】

今回は、ちょっと寄り道をして防衛機制を知ることについて書きたいと思います。防衛機制という言葉をご存じない方も多いでしょう。心理学の用語です。

私たちは普段、自分の心理状態を守るために無意識のうちに不愉快な感情から逃れようとしています。その心理的働きが防衛機制で、これはいい悪いではなく安定した心理状態を保つために必要不可欠なものです。たとえば、嫌な記憶を思い出せないよう閉じ込めてしまったり、自分の中の認めたくない部分を他の人に投影してその人を責めたり、というように様々な種類のものがあります。

前にも言及した『自己評価の心理学』では、自己評価に書かわる主な防衛機制を6つ挙げています(p277参照)。それは「回避」(失敗のリスクを避ける)「否認」(現実の問題を認めない)「投影」(自分が抱いている否定的な感情や観念を他の人間に押しつける)「夢想や空想」(成功しようと努力するかわりに、成功を夢見る)「合理化」(現実の問題は認めるが、そうなった原因については理由をつけて正当化する)「補償」(劣等感から逃れるために、ほかの分野で一生懸命頑張る)です。

心理学的にどう言われているかは知りませんが、私はこの防衛機制が働いているとき、自分自身もなぜか少し不愉快になったり辛い気持ちを持つように思います。たとえば、アルバイトで大きな失敗をしてしまった際、後からそのことを「いやでもあれはこういう理由で仕方がなかったんだ」と何回も正当化せずにはいられないことがありました。無意識が自分の評価を頑張って守っていたんですね。でも私にとって、それを考えるのはとてもつらいことでした。自己評価が下がるような経験を何度も思い返していたのだから当然といえば当然かもしれません。

自分を守るために心が頑張って働いている、ということを客観的に見ることができたとき、ふっと楽になった気がしました。なぜかは自分でも説明できません。でもこんなに自分を嫌いでも、自分は自分を守ろうとしているんだということが、何か面白くて、健気で、そんな自分を少し受け入れることができたのだと思います。

万人にあてはまるものではないと思いますが、それでも防衛機制が働いている時って多分辛いのではないだろうかと周りの人を見ていても感じます。たとえばですが、自らをひきこもりだと思っている人が、「そんなんで将来どうやって生きていくの」と親に言われたときに激昂してしまったりするようなのも防衛機制でしょう。自分が傷つかないために怒っている、その心中を思うといたたまれません。

だから、ああこれは防衛機制なんだな、そういう心の働きなんだな、ということを一旦受け止めるとまた自分に対する見方が変わってくるのではないか、と思っています。当然の心の働きなのだからそのことで自分を責めることもないし、自分を守ろうとしている自分をかわいいやつだな、と温かく見守ってあげましょう。

少しでもこれを見てくれている方の参考になることを願って。